子どもさんのパニック発作

 Ⅶ 子どもさんのパニック発作


パニック症を発症した人の中には、子どもさんの時にパニック発作を経験した人が多くおられ ます。2015年には、パニック症や不安症に掛かりやすい  特徴を持つ遺伝子が発見され、体質が 発症の要素の一つだということが  わかってきました。もともとこういった体質を持っている人は、幼児期でも パニック発作を起こすことがあるのです。

もともとの体質を持っていない子どもさんでも、ストレスがかかるとパニック発作を起こす事は、珍しいことではありません。子どもさんは自律神経の  感受性が強いので、大人になれば充分対処できるちょっとしたストレス、  例えば視覚・嗅覚・触覚・食感・排泄などにも敏感に反応して、パニック発作を起こすことがあります。問題が解決できずに長期間化すると、学校に行かれない・部屋から出られないといった状態になることもあります。

子どもさんは上手く自分の気持ちや状態を説明することができないので、こういった症状を 持っていると我儘な子・我慢の足りない子と思われがちです。けれどこの時期に、親や教師  など周囲の大人が早く問題を見つけて対処の仕方を一緒に見つけてやれば、その子は成長する につれて自分で問題に対処できるようになっていきます。 

大人のパニック症の患者さんで、子どもさんの時にパニック発作を起こして いた方の中には、発達障害と診断されていた方もいらっしゃいます。もちろん   発達障害のためにパニック発作を起こす子どもさんはいらっしゃいますが、 単純に単体のパニック発作を起こしている子どもさんもおられます。            もしあなたの周りに、普段の生活がスムーズではないと感じられる子供さんがいらしたなら、パニック症かもしれないと気を配ってみてください。